非常に細い軸ですので、名いっぱい拡大してもなかなか分かりにくいのですが、赤丸で囲んだ4番歯車の軸(上ホゾ)はかなり摩耗し、無数の筋目が刻み込まれています。
この4番歯車は英語名”second wheel”と言うように秒針が装着されて60秒で一回転し、中3針時計の中心に位置する歯車です。
時計の中心に位置する歯車は湿気の影響でオイルが変質しやすいようで、このシーマスターに搭載されているETA2892/cal.1120では、この歯車の赤丸で囲った軸が摩耗している事が多々あります。
サビと固着したオイルを除去した後、この画像のような状態の4番歯車をそのまま使用した場合でも、多少の回転ムラによるテンプの振り角落ちが発生するものの、致命的な精度不良や即・停止となる事はありません。
4番歯車になりますと、ゼンマイからの側圧があまりかからない為、ここまでの摩耗があっても「結構動いてしまう」のです。
回転軸や受け側の穴の摩耗や変形による影響が大きいのは、意外に香箱芯や2番歯車です。
回転軸や受け側の穴の摩耗や変形による影響が大きいのは、意外に香箱芯や2番歯車です。
それなら、少々の精度不良があっても4番歯車は交換せずに「そんなものです」で済ます事が出来てしまうのかもしれません。