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Channel: 時計修理工房(有)友輝の修理記録

雑誌掲載のお知らせ

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明日28日に発売される、「おとこの腕時計HEROES」に、弊社が掲載されます。

”匠のいる場所”という特集なんですが、編集の方や、実際に取材していただいて文章を書いてくれたライターさんは、このブログにもしっかり目を通していただいたそうで、私の意図するところが非常に良く表現された記事となっています。

随所に”上手いな~”と思わせる表現もあり、さすが文章においては”匠”を感じさせる内容ですね。

私の言葉そのままだと、ちょっとキツイ表現になってしまう危険性もある言葉を、内容はそのまま伝えつつ、柔らかい文体に直していただいたり・・・

編集の方とライターさんに感謝です!

この雑誌の発売日と”激安オーバーホールの実態”記事のUPは、もちろん狙いどおりです。

こういった私の一連の意見や批判を、快く思わない方もいることは承知しております。
しかし、一般のユーザーさんにどうしても知っていただきたい事実があり、価格の差とはどういった理由によるものかを具体的に説明したいからなのです。

それでは皆様、ご覧になった感想などお知らせいただけると嬉しいです。

近況報告/更新滞ってます

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皆様お久しぶりです。

このところ非常に忙しく、なかなかブログの更新まで手が回らない状況です。
上野公園まで足を伸ばして満開の桜でも鑑賞したいのですが、それすらままなりません。

でもご心配なく。震災に伴う混乱などでは無く、お陰様で受注が順調なためです。
本日、ついに私のGWは無くなる事が決定的になりました・・・

そんな調子ですので、同業者の知人ともあまり連絡を取っていないのですが、この業界でも少なからず混乱があったようですね。

まず、原発関連でスイスからの郵便が1週間ほど停止され、部品の入荷が一部遅れたものがありました。

また、国内配送の混乱により、部品の調達面で修理に支障をきたした業者もあったようです。

酷い例では、部品待ちで分解状態になっていた時計が地震で散乱したり、文字盤のダメージなどを被ったりもしたそうです。

自然災害による被害ですから、いたし方ない面もありますが、地震に対する備えとしてではなくとも、普段の取り組み方次第で防げたともいえます。

例としましては、

1.文字盤、針などは小さい軟質プラスチックのケースに個別に保管し、輪ゴムで閉じておく。

2.分解したムーブメントを保管しておく場合、仕切られた密閉性のあるケースに入れて、ひっくり返っても散逸しないようにして金庫に保管する。

3.交換頻度の高い部品を見極め、必ず1個は在庫を持つようにする。そうすれば、時計が分解された状態になる時間/個数を確実に減らす事が出来る。

これらは、常に迅速な修理を心がけ、不慮の事故が起こらないようにと実践していた事ですが、今回の地震に対しても非常に有効に働いたと思います。

昨今、”できるだけ在庫を持たない”事がトヨタ看板方式に代表される良い経営であるとされていますが、私達のような時計修理業者の場合は、部品をその都度、個別に小口で調達していると、結局のところ非効率的であると常々考えておりました。

勿論、闇雲に部品の在庫を持つのは最悪で、在庫する部品の種類と個数を確実に見極める、という事が大前提ですけどね。


P.S
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学校で教わらなかった事

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ちょっと途中で割り込む形になりますが、前回の記事が「情報に踊らされない事」だった事に加え、この時期になると、ここ数年思う事があり、時計と直接は関係無いのですが、以前から記事にしてみたかった事を書きます。

地域もしくは年代によっても異なるとは思いますが、私が小学生の頃、複数の先生から「スイスは永世中立国といって素晴らしい国なんですよ」と繰り返し教わりました。
私と同年代の知人も、そう聞いた経験があるそうなので、私の住んでいた地区だけに限った話ではないようです。

その言葉以外を失念しているので確かではないのですが、その際に私は「スイスという国は永久に戦争を放棄し、軍隊の類は一切持たないんだな」と解釈したような気がします。(先生の語り方や表情から、おそらくその教室にいた生徒の多くが、そう感じた事と思います)

それから間もなく、航空機マニアだった私は、スイス空軍には強力な戦闘機が配備されている事を知り、「永世中立」というのは「軍備と戦闘を全て放棄し、他国からの侵攻の脅威には外交や話し合いで解決する」という意味では無い事を知りました。

時は流れ、私はスイスと深いかかわりを持つ時計関連の職に就き、実際にスイスへ行く機会を得ました。

画像は2009年にスイスの首都・ベルンへ行った際に撮影したものです。
迷彩服を着た青年が、後ろに自動小銃を置いてベルン駅構内にあるファストフード店で食事をしています。
もちろん、サバイバルゲームの途中でハンバーガーを食べているのではありません。
自動小銃はれっきとした「本物」です

スイスは「国民皆兵」であり、徴兵制度が存在します。
徴兵された青年は、週末に自宅への帰省が許されるのですが、その際も行き帰りは臨戦態勢での行動となり、銃もむき出しで行動します。

実家への帰省中でも、非常事態には即・戦闘態勢で行動しながら部隊へ戻る事が義務付けられているのです。

「永世中立」や観光のイメージから、こういったスイスの実像を知らない日本人は多いのではないでしょうか。

→この記事は次回へ続きます。

P.S. 関係ありませんが、警視庁マスコットキャラクターの「ピーポくん」は裸にガンベルトという、スイスでも一発で職務質問されるような格好をしています。

So do the Swiss

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徴兵されて軍事教練を受けた男子がいる事も多いので、スイスの各家庭には国から支給された自動小銃が「常備」されています。
さすがに弾丸は別所で集中管理され、有事の際にのみ支給されるそうですが、近年まで装弾されたまま、いつでも持ち出せる「発砲可能」な状態で常備されていたそうです。

マッターホルン周辺のトレッキングの際には、日本では見る事の出来ないF-5E戦闘機が、山岳地帯を縫って攻撃してくる敵機を想定した激しい訓練を常時繰り返しているのに目を奪われるとともに、かなり間近を飛行するのに大変驚きました。

日本ではあまり知られておりませんが、時計以上の精密機器である銃火器=兵器の輸出で外貨を稼ぐというのもスイスの産業構造の特徴です。

元々フランスの貴族御用達だった時計製作者が、革命や宗教的な理由でスイスへ移住した結果、精密機械産業が発展するのに伴って銃火器製造産業も発達してきた歴史があります。
時計産業の歴史、世界史、銃火器のあらましなど、それぞれ個別に記述された本を読み解いてシンクロさせると、面白いくらいに様々な事象が起きた理由や、その必然性が判ってきます。

少し前まで顧客の情報を一切開示せず、マネーロンダリングや世界のブラックマネーの温床となっていると噂されるほど、徹底した秘密主義を貫いていたスイス銀行協会なども、一般的にクリーンなイメージのあるスイスの印象とは対極にあるといえます。(最近は相当変わったようですが)

本来独占禁止法に抵触しかねないような事なのですが、最近の主流となりつつある「修理用部品を一切外部に販売しない」という時計メーカーの姿勢からも、スイスという国の本質の一部が垣間見えます。

西欧のことわざで “So do the Swiss”という言葉があるそうです。
これは「言う事は美しく、行う事は悪どく」という強烈な皮肉の意味が込められているのだそうです。

このところ、テレビや新聞等のマスメディアで報道された事が現実と異なっていた、という事態が相次いでおります。

これからも、このブログでは実体験に基づき、雑誌やインターネット等も含め、一般的に流布しているのとは異なる事実や、独自の見解を積極的に述べてゆきたいと思っております。

ちょっと嬉しい出来事

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前回の未熟なブレスのコマ調整を見て、気分が滅入っていましたが、今日はちょっと嬉しい驚きがありました。

HPを見て、ロレックス・オイスターパーペチュアルのOHを依頼したいというお客様から、お電話いただきました。
「時計を振ると、内部で何か音がする」という事で、これまでの経験から、私はcal.3000~3035搭載で、自動巻きローター留めクリップが外れてローターが脱落したのだろう、という推測をしました。

cal.3000~3035系は、特定の条件が重なるとローターが脱落してしまう傾向があり、ユーザーさんにも聞こえるくらいの音だと、ローターしかないと判断したためです。

そして本日、時計が到着したのですが、cal.3135搭載のRef.15200でした。
cal.3135になってからは、ローターの固定方法が改良されたため、ローターが脱落する事は、ほぼ無くなりました。

目視で確認しても、確かにローターは脱落していませんでした。
そこで、時計を軽く振ってみると、”ブーン”というかすかな音と、微妙な振動を感じ取る事ができました。

これは、ローターの回転軸部分のオイルが切れたために、回転が重くなり、それが振動と音になって現れるのです。

それにしても、音と振動はかなり微妙なものですから、このお客様はよくこの段階で異常を感じ取ったものだと感心してしまいました。
精度、巻き上げともに若干性能低下があるものの、実用上さほど問題あるレベルではないのに、です。

ローター芯も磨耗が発生する前だったので、部品交換も必要無く、非常に安い金額でOHが可能です。

言ってみれば、”ちょっと胃が重い感じがする”段階で検診を受け、がんを早期発見出来た為に、軽い手術で全快できるようなものです。

こういうお客様ばかりなら、修理もラクなのになぁ・・・

いやいや、普通は精度が狂ったり、止まってからでないと、修理に行こうという気にはならないですよね。。
そこまでをお客さんに求めるのは酷というもんですな。

番組の裏側

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”番組の真実”といっても、悪い意味での暴露では無く、伝え切れなかった補足とお考え
くださいね。

まず最初にお伝えしておきたいのですが、加藤会長は時計を預かって最終段階まで
組み立てるオーバーホール作業は原則行っておらず、専ら部品の特殊加工や新規作成を
行っております。

番組の意向として、”会長の作業によって時計が息を吹き返した”ということに
したかったのがわかりましたので、普段は行わない最終組み立てまで行ってもらい
ましたが、預かった段階で停止の原因を究明し、最終的にオーバーホールして調整
したのは私なんですよ。

当初、文字盤裏ではテンプが振るものの、文字盤上にすると停止してしまうために、
テンプ受け側の天芯が折れているのかと思いましたが、2番車の中心軸がくびれるまで
減っていたために、ゼンマイを巻くとトルク(側圧)によって2番車が傾く事が原因
でした。

要するに、文字盤裏姿勢ではテンプが動作しますが、文字盤を上にすると1/20mm程度の
天芯アガキ(=遊び、ガタ)によって天輪が僅かに下がって2番車の淵と接触するために停止
していたのです。

それと、一瞬しか写りませんでしたが、米粒、髪の毛と天芯を並べた画像の撮影は
本当に大変でした・・・

すぐに転がる天芯を、200倍の視野で米粒と髪の毛のすぐ真横に、しかも”完全な平行”
にして並べないとディレクターさんがOK出してくれなかったんですよ。

当初、カメラマンの方がいくらトライしても不可能だったので、見るに見かねて私が行う
ことになったのですが、強い照明下で目がチカチカしながらの作業で、わずかなズレも
許されず、婦人用のヒゲゼンマイ修正どころの大変さでは無かったです。

冗談抜きで、ルクルトの世界最小ムーブOHしたときより苦労しましたよ!!

あと時計内部のCG画像で”天和”となってましたが、それじゃ役満アガリです。
正しくは”天輪=テンワ”ですよ、皆さん。

のべ5日間にわたるロケで、私がレポーターさんと絡むシーンもあったのですが、
見事にカットされましたw

会長も齢76歳でありながら、湯島~御徒町での材料屋めぐりを終えた後、秋葉原を
経由して神田まで歩き(しかもジムで週二回6kmランニングする私からみても結構な
ペースで)、老舗の蕎麦屋で海苔やとろろ、板わさといったつまみで一杯飲ったのち、
もりそばで〆る、といった粋な様子がカットされたのはちょっと残念でしたね~。

お蔭様で、日本シリーズ第7戦という強力な裏番組だったわりに、なかなかの高視聴率
だったらしく、中でも時計に関しての問い合わせが群を抜いていたそうです。

そんな忙しさのせいかわかりませんが、私のところへ電話かけて来たお客さんで、
「テレビ局の電話担当の方がそっけなくてねぇ・・・」と修理の本題に入らず
愚痴をこぼしていた方もいらっしゃいましたw

P.S
加藤会長の旋盤DVDは古典時計協会の会員でないと入手不可能なんです。
入会案内は”古典時計協会”で検索してみてください。

まぁ、DVDの入手が第一目的での入会はちょっと・・・というのが正直なところでは
あるんですけどね。

ようやくひと段落

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皆様、あらためてご視聴ありがとうございました。

予想外の反響に私自身が非常に驚きましたが、ようやく問い合わせに関しては落ち着いて
まいりました。

これから送っていただいた時計の修理作業が待っていますが、それも嬉しい悲鳴といった
感じで、風邪などひかぬように頑張らなければ、と身の引き締まる思いであります。

番組の影響か、大半が懐中時計の問い合わせでしたが、最近日本ロレックスがOHを
受け付けなくなった、cal.1570搭載のRef.1601デイトジャストと、cal.1160のRef.6517
(レディース)の修理依頼をそれぞれ2件受けました。

大阪の方で「セイコーが出した最初の水晶式腕時計なんだけど・・」と問い合わせを
いただいたときは、これまでの経験から、初めてクォーツで”量産に成功”した
38シリーズなんだろうな、と思いこんで話を進めていたのですが、これが何と正真正銘の
クォーツ第一号の”35アストロン”だったのです。

当時、お客さんは38シリーズを「最初のクォーツ」と思われて購入されたケースが
多かったようですね。

セイコーで電子回路不良と診断されたようだったので、丁重にお断りさせていただき
ましたが、1969年当時で大卒初任給の14倍(!!)という購入価格を考えると諦め
きれないようで(誰だってそうなるでしょう)、最後の手段として同型の品を購入し、
機械を入れ替えるしか無い旨をお伝えしましたが、

1.ほとんど中古の流通が無いうえ、50万円以下での購入は難しい。
2.40年近く経過している電子部品のため、購入翌日に停止する可能性が無いわけ
ではない。

ということを考慮すると、入れ替えは現実的ではないことを了解してもらえました。

その他にも様々な問い合わせがあり、真摯なお手紙が同封されたものに感動させられ
たり、修理品は基本宅急便による受付のみなのに、住所を頼りにいきなり直接持参
された方等々、先週は本当に忙しかったです。

次回、”番組の真実”をこのブログを閲覧してる方だけに、ちょっとだけ紹介したいと
思います。(本当にちょっとですよ、当たり障り無いくらいにねw)

再修理

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こちらで2階建てスピードマスターの解説を得意気に語っておりましたら、先月OHした
方から”センター針と12時間計が、まれにゼロに帰零しないことがある”という症状が
出るということで再修理の依頼を受けました。

この2階建てムーブメントですが、全くの新設計ということもありマイナートラブルは
少なくなかったようで、1988年の登場以来、様々な改良が繰り返されています。

今回のムーブメントは受けが金メッキされている”初期型”で、最初のOHの際も
そのマイナートラブルが将来的にも起こらないよう、留意して組み上げたのですが
見落としがあったようです。

お客さんが理解のある方で、再度足を運んでいただく手間があるにもかかわらず、
快く再度お預かりすることを承諾していただけました。
本当に感謝するとともに、それ以上にお詫びの気持ちでいっぱいです。

この数年だけでも、このムーブメントで再修理に持ち込まれたのは今回も含めて1~2例で
あり、同業者から言わせれば極めて少ない再修理率なのだそうです。

しかし、再修理率が少ないからといって、胡坐をかいてしまうことは許されることでは
ありません。

私が尊敬する人物の一人である本田宗一郎氏が、不良品の歩留まりを指して曰く、
”不良品の率が0.001%だって自慢げに言っても、その不良品を買っちまったお客さん
からしてみれば100%の不良品じゃねえか、それで安心してちゃいけねぇよ”

全くその通りです。
自分が修理を依頼する立場に立って物事を考えてみる、ということも、修理を行うに
あたっては実際の作業と同じくらい重要であると思っております。

それに、まだ再修理に持って来ていただいているうちは救われているのです。

1年以内に不具合が発生した場合、”あの修理屋はダメだ”と判断され、他店に
持ち込まれることも多いようです。
というのも、このパターンで私のところに持ち込まれるお客さんが案外多いからです。

ここで再度失敗したら、お客さんは時計修理という業種そのものに不信感を抱いて
しまい、修理の依頼は勿論、機械式時計を買うこともなくなってしまう”という思いと、
”他で失敗したことでも、自分ならやってみせる”というライバル心のような単純な
気持ちが相まって、こういった場合の修理には気合が入ります。

ちょっと長くなってしまいました。

今回のトラブルの対処方法は次回、紹介させていただきます。

見積もりCMWへの道

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よく、いろいろな方から「どんな修理(作業)が難しいですか?」と尋ねられるのですが、
不適切な作業をされた時計の修理を除くと、「見積もりですね」と即答しています。

この見積もりに関しては、かなり真剣に取り組んでいるつもりです。

私の場合、来店していただいたお客様には、その場で裏蓋を開け10~15分ほどお待ち
いただいて見積もりをします。

15分を過ぎると「長い」と感じるでしょうし、何でも預かってから後日お知らせ、という
メーカーや百貨店との差異を打ち出す、ということでもあります。

何よりも、丁寧に使用していて部品交換、手間ともにかからない時計は絶対にメーカー
より安く修理したいという思いがあります。

そういった”時計を大事にするお客さん”に対して、湿気を入れてサビを発生させたり、
磨耗しきって止まるまで使用したお客さんには、”不摂生がたたって修理代は高価に
なります”ということをわかってもらいたいというのも、また同じようにあるからです。
(それでも、大抵の場合メーカー修理より安く仕上がります)

一部のメーカー系代理店では基本料金を高く設定し、手間のかかる修理品で発生した
マイナス分を、”時計を大事にするお客さん”へ、かぶせているような気がいたします。

また、完全分解での見積もりは事実上不可能ですので、絶対に、というのは無理なの
ですが、見積もりをお伝えして、その値段で修理を請け負った後は、追加の作業や部品が
極力発生しないようにしています。

というのも、最初に安く見積り額を伝えられて、”その値段なら”ということで安心して
依頼したものの、実際分解作業に入って、キャンセルしにくい状況にした後、あれも
これもと部品や作業を追加され、結局高くなった、という思いを抱かせてしまうことも
あるからです。

リューズやプッシュボタン等、外観の状態+裏蓋を開けた時点でムーブメントまで
見れば、その時計の大体のコンディションは予想がつきます。

状態の悪い時計の場合、サビや汚れなどをお客さんへ見せて、追加される可能性のある
部品や作業は全て見積もりに含め、余裕を持った(高めな)見積もりをします。

それでも依頼してくださる方は、それなりの心づもりがあるということがわかります。

最終的な作業と結果は同じでも、”聞いていなかった追加”と”最初の見積もりより安く
出来た”というのでは、お客様の信頼度は明らかに異なると思います。

先述しましたように、どうしても予想外の部品が追加になることがありますが、ほとんど
の場合は”見積もりの際に見抜けなかった自分への戒め”として、お客さんへは請求
しないようにしています。

3~4年後に再び同じ時計のOH依頼を受けたり、他のお客様を紹介していただくかは、
こういった事前の見積もり技術にも関わっていると信じ、今後も時計の歩度以上に精度の
高い見積もりをしてゆきたいと思っています。

それでも、100%見積もり通り、っていうのは不可能なんですよね~(泣)
その際、”なぜその部品は破損していたのか”、”どうして見積もりの時に気づくことが
できなかったのか”ということを、絶対に嘘や口先でのごまかしをせずに説明するように
しています。
こちらが誠意を持って伝えると、大抵のお客様に理解していただけます、感謝!!

見積もりに力を入れていますので、思わず松岡修造並に熱く語ってしまいました。

裏蓋が開くところまで紹介したので、次こそ初期型1601の見積もり実例といきましょう。

緊急告知!

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11/9日曜日の20時~22時にテレビ東京(12ch)で放映される、”日曜ビッグバラエティ
凄腕!修理の職人”の中で、私が旋盤作業を教わったり、ホゾ入れなどの特殊加工を
お願いしている方が取り上げられることになりました。

その方が会長で、私が窓口役を務めている団体を通じてオファーがあったのですが、
その方は、過去にもテレビの取材を受けてあまりいい印象が無かったらしく、私が番組
製作会社との間に入って、交渉や連絡役をしてくれるのなら取材を受けてもいい、との
ことでした。

要するに私がマネジャーをやるってことです。

そういうわけで私もちょっと興味があったので引き受けたのですが、これが大変でした~
最初に話があったのが8月末で、その後の打ち合わせやら質問で、番組製作会社からの
電話が50件!
延べ5日間、そのうち2日はまる一日がかりのロケが終了したのが今月26日・・・

先月のブログ更新が滞ったのは100%この取材のためなのです。

その甲斐あって、400倍まで撮影可能なマイクロスコープカメラまで繰り出し、雑誌など
でも時計修理の世界にここまで迫った特集はこれまで無かった、と断言できる内容
(になってるはず)です。

テレビ東京がネットされている大都市では地方でも放映されるようです。
お時間あるようでしたら、ぜひご覧になってみてください。

P.S
Wikipediaで”日曜ビッグバラエティ”を検索すると、地方での同時ネット&時差ネット
局がわかります。