クリックして大きな画像にしないと分かりにくいのですが、赤丸で囲んだ部分の表面が削れて、色味が変わっているのが確認できます。
具体的には表面処理が剥離して、光沢が出たような変化をしています。
30倍倍率で撮影してもこれだけのわずかな変化ですので、肉眼は勿論の事、時計修理業者のほとんどは、顕微鏡を使用せずに目に装着するルーペ(俗にキズ見と呼ばれます)を使用していますので、こういった大きな欠けや変形の無い異常は見落としがちです。
この部分はゼンマイを手巻きする際に噛み合う部分ですので、ここが摩耗/変形していたという事は、オイル切れで固着した巻き上げ機構を、半ば無理矢理に長期間にわたって操作していたことが予想されます。
このあたりは、現物を拝見する前にお客様からの申し出に「翌朝停止するようになってきていたので、1年ほど手巻きをして使用していた」とあった事で、ある程度予想がついておりました。
そのため、見積もり段階でこのキチ車を含む、手巻き/巻き上げ機構を重点的にチェックするようにしましたので、異常を見落とさずに発見する事が出来ました。
そのため、見積もり段階でこのキチ車を含む、手巻き/巻き上げ機構を重点的にチェックするようにしましたので、異常を見落とさずに発見する事が出来ました。
こういった申し出があるか無いかで、見積りの正確度が違ってきますので、「こんな事は大して関係ないだろう」という事柄でも、とりあえず知らせてもらえると助かります。