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Channel: 時計修理工房(有)友輝の修理記録
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押してダメなら引いてみる

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本体とブレスをつなぐ「バネ棒」も御覧のような状態です。

当然サビついて固着しているので、この状態のまま無理に外そうとすると、バネ棒が傷だらけに
なるだけでなく、工具を滑らせてブレスやケース本体に大きな傷をつける恐れがあります。

こういった場合は以下のような対処方法が考えられます。

1.内部の機械を取り外したのち、このまま洗浄用の超音波洗浄機にかける。

超音波の微振動でサビの固着が分解され、バネ棒の可動部が動かせるようになります。
ただし、ベゼルに刻印されたタキメーターのプリントはさらに剥がれ落ちる可能性が高くなります。

2.バネ棒の周辺をアルコールランプで炙る

そうすると熱でサビの固着が剥がれる事があります。
ただし、熱によって周辺のステンレスが変色する恐れがあります。

この方法でバネ棒が外れれば、ケースやブレスの研磨/仕上げを施して変色をした部分を元に戻す事も可能なのですが、かなりの手間がかかりますし、何より変色までさせたのに、最悪バネ棒が外れない場合は変色部を研磨し切れずに変色したままになってしまう、という悲劇が待っています。

3.フラッシュフィット交換を前提で、糸鋸でバネ棒を切断してしまう

やや強引なこんな方法もありますが、ケースやブレスにダメージを与えてしまう恐れもありますし、何より怖いのは、切断に成功してもバネ棒の先がケースと一体化して外れない状態になってしまう事(=ブレス再装着が出来ない)事です。

4.使用に差し支えない場合がほとんどなので、どうしても外れない場合そのままにする。

実は一見手抜きとも解釈されかねない、この「そのまま」にする判断が難しいのです。無理に作業を進めて回復の難しいダメージを与えてしまうより、よっぽど悪影響が無いのです。

どうしてもブレスを外さざるを得ない場合を除き、超音波洗浄を行ってもダメなら、この「そのまま」方式で、2と3の方法までは行なわないほうが無難です。

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