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Channel: 時計修理工房(有)友輝の修理記録
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見積もりCMWへの道

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よく、いろいろな方から「どんな修理(作業)が難しいですか?」と尋ねられるのですが、
不適切な作業をされた時計の修理を除くと、「見積もりですね」と即答しています。

この見積もりに関しては、かなり真剣に取り組んでいるつもりです。

私の場合、来店していただいたお客様には、その場で裏蓋を開け10~15分ほどお待ち
いただいて見積もりをします。

15分を過ぎると「長い」と感じるでしょうし、何でも預かってから後日お知らせ、という
メーカーや百貨店との差異を打ち出す、ということでもあります。

何よりも、丁寧に使用していて部品交換、手間ともにかからない時計は絶対にメーカー
より安く修理したいという思いがあります。

そういった”時計を大事にするお客さん”に対して、湿気を入れてサビを発生させたり、
磨耗しきって止まるまで使用したお客さんには、”不摂生がたたって修理代は高価に
なります”ということをわかってもらいたいというのも、また同じようにあるからです。
(それでも、大抵の場合メーカー修理より安く仕上がります)

一部のメーカー系代理店では基本料金を高く設定し、手間のかかる修理品で発生した
マイナス分を、”時計を大事にするお客さん”へ、かぶせているような気がいたします。

また、完全分解での見積もりは事実上不可能ですので、絶対に、というのは無理なの
ですが、見積もりをお伝えして、その値段で修理を請け負った後は、追加の作業や部品が
極力発生しないようにしています。

というのも、最初に安く見積り額を伝えられて、”その値段なら”ということで安心して
依頼したものの、実際分解作業に入って、キャンセルしにくい状況にした後、あれも
これもと部品や作業を追加され、結局高くなった、という思いを抱かせてしまうことも
あるからです。

リューズやプッシュボタン等、外観の状態+裏蓋を開けた時点でムーブメントまで
見れば、その時計の大体のコンディションは予想がつきます。

状態の悪い時計の場合、サビや汚れなどをお客さんへ見せて、追加される可能性のある
部品や作業は全て見積もりに含め、余裕を持った(高めな)見積もりをします。

それでも依頼してくださる方は、それなりの心づもりがあるということがわかります。

最終的な作業と結果は同じでも、”聞いていなかった追加”と”最初の見積もりより安く
出来た”というのでは、お客様の信頼度は明らかに異なると思います。

先述しましたように、どうしても予想外の部品が追加になることがありますが、ほとんど
の場合は”見積もりの際に見抜けなかった自分への戒め”として、お客さんへは請求
しないようにしています。

3~4年後に再び同じ時計のOH依頼を受けたり、他のお客様を紹介していただくかは、
こういった事前の見積もり技術にも関わっていると信じ、今後も時計の歩度以上に精度の
高い見積もりをしてゆきたいと思っています。

それでも、100%見積もり通り、っていうのは不可能なんですよね~(泣)
その際、”なぜその部品は破損していたのか”、”どうして見積もりの時に気づくことが
できなかったのか”ということを、絶対に嘘や口先でのごまかしをせずに説明するように
しています。
こちらが誠意を持って伝えると、大抵のお客様に理解していただけます、感謝!!

見積もりに力を入れていますので、思わず松岡修造並に熱く語ってしまいました。

裏蓋が開くところまで紹介したので、次こそ初期型1601の見積もり実例といきましょう。

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