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Channel: 時計修理工房(有)友輝の修理記録
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ちょっと嬉しい出来事

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前回の未熟なブレスのコマ調整を見て、気分が滅入っていましたが、今日はちょっと嬉しい驚きがありました。

HPを見て、ロレックス・オイスターパーペチュアルのOHを依頼したいというお客様から、お電話いただきました。
「時計を振ると、内部で何か音がする」という事で、これまでの経験から、私はcal.3000~3035搭載で、自動巻きローター留めクリップが外れてローターが脱落したのだろう、という推測をしました。

cal.3000~3035系は、特定の条件が重なるとローターが脱落してしまう傾向があり、ユーザーさんにも聞こえるくらいの音だと、ローターしかないと判断したためです。

そして本日、時計が到着したのですが、cal.3135搭載のRef.15200でした。
cal.3135になってからは、ローターの固定方法が改良されたため、ローターが脱落する事は、ほぼ無くなりました。

目視で確認しても、確かにローターは脱落していませんでした。
そこで、時計を軽く振ってみると、”ブーン”というかすかな音と、微妙な振動を感じ取る事ができました。

これは、ローターの回転軸部分のオイルが切れたために、回転が重くなり、それが振動と音になって現れるのです。

それにしても、音と振動はかなり微妙なものですから、このお客様はよくこの段階で異常を感じ取ったものだと感心してしまいました。
精度、巻き上げともに若干性能低下があるものの、実用上さほど問題あるレベルではないのに、です。

ローター芯も磨耗が発生する前だったので、部品交換も必要無く、非常に安い金額でOHが可能です。

言ってみれば、”ちょっと胃が重い感じがする”段階で検診を受け、がんを早期発見出来た為に、軽い手術で全快できるようなものです。

こういうお客様ばかりなら、修理もラクなのになぁ・・・

いやいや、普通は精度が狂ったり、止まってからでないと、修理に行こうという気にはならないですよね。。
そこまでをお客さんに求めるのは酷というもんですな。

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